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知っておきたい「半纏」の豆知識

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江戸時代から広く一般に普及し始めた「半纏」ですが、その歴史の中で表記や呼び名、染色方法など、半纏を取り巻く文化は少しずつ移り変わりを見せています。

ここでは、祭りの衣装や仕事着として日本で広く愛用されている「半纏」についての豆知識をお届けします。

【豆知識①】半纏の正しい表記は「袢天

さまざまなメディアやコンテンツで見かける「半纏(はんてん)」という漢字ですが、実は、「袢天」が業界での正しい表記。他にも「袢纏」・「半天」・「伴天」など、「半纏」や「袢天」といった漢字以外が使われることがありますが、全て同じ「はんてん」を指すものです。

もともと半纏という言葉は、“袖が半分”というところから「半丁(はんてん)」と呼ばれるようになり、そこから当て字で「半天」と変化。それに、“纏う”という意味が加わって「半纏」という表記になったり、また、着物を着る際の肌着である“肌襦袢”から転じて「袢纏」・「袢天」・「伴天」という表記になるなど、枝葉のように漢字のバリエーションが増えていったようです。

現在では、パソコンやスマホなどで変換しやすいから、またユーザーもインターネットで検索しやすいからといった理由で、ホームページなどでは「半纏」という表記が一般的。もちろん、「袢纏」・「半天」・「伴天」…などの表記を使うこともありますが、業界で正しいとされている表記としては「袢天」が正解となります。

【豆知識②】半纏の呼び名は地域で異なる

祭りの衣装や職人の仕事着として着用されている半纏ですが、実は、地域によって「半纏」と「法被」で呼び方が異なります。

半纏」と「法被」の違いについては諸説ありますが、江戸末期ごろから区別がなくなって同じものを指すようになり、現在では静岡県の大井川を境にして、神輿を担ぐ東側の地域では「半纏」、山車を引く西側の地域では「法被」と呼ぶことが多いようです。

また、「法被」という呼び方の方が一般的となっている西日本では、「半纏」というと綿入り半纏(ちゃんちゃんこ)の印象が強い場合もあるなど、同じ「半纏」という言葉でも、地域によって違いがあるのも半纏の魅力の一つかもしれませんね。

【豆知識③】大紋(背紋)・腰柄・衿文字の配置には決まりがある

半纏をデザインする際に欠かせない「大紋(背紋)」「腰柄」「衿文字」ですが、実は、これらの配置には決まりや古くからの習わしがあります。

例えば、半纏の背に大きく入れる「大紋」の場合、衿下がり約1寸(3cm)から約8寸(24cm)の大きさの円の中に紋を納める、また、半纏の腰の部分に入れる「腰柄」の場合、角型にした文字・角字や、伝統的な紋様をバランスよく配置する…など。

何気なく配置されているような半纏のデザインでも、古くから続く決まりごとに沿って、それぞれの用途に合わせた半纏ならではの“粋”を感じさせる図案が考えられているのです。

【豆知識④】江戸時代の半纏は藍染や硫化染めに限られていた

半纏の歴史が始まったのは、江戸時代。
上流階級だけが認められていた「法被」が、羽織禁止令が発令されたのをきっかけに「半纏」として庶民にも広がり、庶民の防寒着やくつろぎ着、また職人の仕事着として発展していきました。

そのため、半纏は汗や埃にまみれることが多く、水洗いや洗濯に耐えうる染料で染めることが必須でした。そこで、当時使われていたのが、主に藍や硫化染料などの染料。特に藍を使った藍染は、同じく江戸時代に木綿糸の量産によって庶民の間で広まったことにより、半纏だけでなくあらゆる製品に使われていました。

今では、半纏を染める際には生地や用途に合わせて適した染料・染色方法が使い分けられていますが、現在、私たち水野染工場でも使用しているような反応染料が開発されるまでは、半纏の染色には、藍や硫化染料などの染料に限られていました。

【豆知識⑤】漁師の晴れ着としても着用される

祭りや神事の衣装だけでなく、職人の仕事着としても着用される半纏。この半纏は、用途別に「作業半纏」「祭り半纏」「消防半纏」などに大別されますが、その他にも、漁師の晴れ着として、「萬祝半纏(まいわいはんてん)」と言う半纏もあります。

萬祝半纏とは、新造船の船降ろしや船主の還暦祝い、豊漁など、お祝いの際に漁師たちが着用する伝統的な半纏のこと。大漁祝いとして船主や網元から配られた反物を長着や半纏に仕立て、祝い着として揃って着ていたのが、萬祝半纏の始まりだと言われています。

一説によると、この萬祝半纏の発祥は千葉県の房総半島だとのことで、現在では、千葉県の伝統的工芸品にも指定されています。

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